2017年12月10日

Can/Tago Mago (1971) **

カン/タゴ・マゴ

1968年に西ドイツのケルンで結成されたドイツの実験的なロックバンド、カン(Can)の3作目のアルバム。オリジナルはLP2枚組(CDは1枚)。日本人ヴォーカリストのダモ鈴木加入後の初期の代表作。クラウトロックの名盤。サイケデリック・ロック、ジャズのインプロヴィゼーション、ファンク、ワールドミュージック、電子音楽、テープ編集技法などの要素を含む実験的なアルバム。「メトロノーム奏法」と呼ばれたヤキ・リーベツァイトのファンキーな超絶技巧ドラムと反復ビートが特徴。トランシーな反復ビートの18分超の長尺曲「Halleluwah」が素晴らしい。パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd.)などのポストパンク系バンドへの影響大。2004年のリマスター版と未発表のライヴ演奏の録音(1972年)を含む2枚組CD「40th Anniversary Edition」が2011年に発売されている

Tago Mago

2017年12月03日

高柳昌行・阿部薫/解体的交感 ニュー・ディレクション (1970)

フリー・ジャズ・ギタリストの高柳昌行(guitar)とフリー・ジャズ・アルトサックス奏者の阿部薫(alto saxophone, bass clarinet, harmonica)のデュオによる、高柳のユニット「ニュー・ディレクション」名義でのライヴ録音。1970年6月28日、厚生年金会館小ホールにて収録。バラバラのようだが相乗効果的なところもある、高柳のひずんだフィードバック・ギターと阿部のアルトサックスの絡み合いが中心のノイジーなフリー・インプロヴィゼーション。前衛ジャズ、フリーインプロ、ノイズ・ミュージック史上の重要作だが、1999年にディスクユニオンのDIWレーベルから再発されたCDはLPから音を拾っていて音質が悪い。LP版は希少で入手が困難(2017年にディスクユニオンのレーベル、Craftman Recordsからリマスター版LPが発売されたが非常に高額)。ペーター・ブロッツマン(Peter Brötzmann)やデレク・ベイリー(Derek Bailey)などのフリーインプロやノイズ・ミュージックを好む方におすすめ

解体的交感 ニュー・ディレクション

2017年11月27日

Rossini/10 Overtures (Chailly, 1995)

オペラの作曲で知られるロマン派時代のイタリアの作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニが作曲したオペラの序曲集(Decca)。軽快なリズムと明快な旋律、高揚感のある独特の「ロッシーニ・クレッシェンド」が特徴の華麗で躍動的な音楽。有名な「ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)」、「セビリアの理髪師」、「セミラーミデ」、「泥棒かささぎ」を含む10曲の序曲を収録。リッカルド・シャイー指揮、スカラ座フィルハーモニー管弦楽団演奏。シャイーは1981年と1984年にナショナル・フィルハーモニー管弦楽団とロッシーニの序曲集を録音しており、本作は2回目の録音

10 Overtures

2017年11月20日

David Bowie/Lodger (1979)

デヴィッド・ボウイ/ロジャー(間借人)

イギリスのシンガーソングライター、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の13作目のスタジオ録音アルバム(全英アルバムチャート4位。全米アルバムチャート20位)。ブライアン・イーノとの共同制作となった「ベルリン三部作」の最終作。インストゥルメンタル志向だった前2作とは異なり、全曲ボウイのヴォーカル入り。ワールド・ミュージックの要素やクラウトロックの影響を含む、歌モノ志向の屈折前衛ポップ・アルバム。シングル曲、「Boys Keep Swinging」(全英7位)、「DJ」、「Yassassin」、「Look Back in Anger」収録。「Yassassin」はトルコ風のレゲエ曲。「Red Sails」はドイツのバンド、ノイ!(Neu!)の影響が色濃い佳曲。「Red Money」はイギー・ポップのアルバム「The Idiot」に収録の曲「Sister Midnight」の別ヴァージョン。エイドリアン・ブリューがギターで参加。プロデュースはデヴィッド・ボウイとトニー・ヴィスコンティ

Lodger

2017年11月13日

Vijay Iyer Trio/Historicity (2009) *

1971年にニューヨークでインド系移民の息子として生まれたアメリカ合衆国のジャズピアニスト・作曲家、ヴィジェイ・アイヤー(Vijay Iyer)のメジャー・レーベルでの初リーダー作(ACT)。アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の影響が色濃い、ピアノトリオによる硬質なタッチの玄妙な音楽。変拍子とポリリズムを含む変幻自在のリズムと断片的な旋律による複雑な構成の楽曲が特徴だが、流麗で不思議な統一感がある。マーカス・ギルモア(Marcus Gilmore)のグルーヴ感のある超絶技巧ドラムが巣晴らしい。ステファン・クランプ(Stephan Crump)のボウイング奏法のベースも効果的。オリジナル4曲とカヴァー6曲(レナード・バーンスタイン、M.I.A.、アンドリュー・ヒル、スティーヴィー・ワンダー、ジュリアス・ヘンフィル、ロニー・フォスター)を収録。「The Village Voice」「The New York Times」その他の各紙で2009年の最優秀ジャズアルバムに選出

Historicity

2017年11月06日

ザ・シロップ/ザ・シロップのすべて〜ベスト・ヒット集〜 (2009/2000-2007)

1999年に松石ゲル(drums, songwriting)とカズミ(vocals)を中心に名古屋で結成されたロックバンド、ザ・シロップのベスト盤。昭和40年代(1960年代後半〜1970年代前半)の日本のポピュラー音楽、特にGS、歌謡曲、山下毅雄などのジャジーなTV・映画サントラのスタイルをベースに、ガレージ/サイケロック、ソフトロック、ボサノヴァなどの要素も含んだアングラポップ。エフェクト(ファズ、ワウペダル)ギター、電子オルガン、フルートを多用したキャッチーでグルーヴ感あふれる楽曲多数。3枚のオリジナル・アルバム、架空の映画のサントラ盤、2枚のミニアルバム、2枚のコンピレーション・アルバムから選曲された曲と未発表ライヴ音源3曲を収録。「せつないあなた」はエリス・レジーナ(Elis Regina)のブラジリアンポップ「Se Você Pensa」の日本語詞カヴァー。ガレージ/サイケ系のGS、ジャックス、昭和歌謡、ラウンジ/モンド系を好む方におすすめ

ザ・シロップのすべて〜ベスト・ヒット集〜

2017年11月01日

Café Jacques/Round the Back (1977)

カフェ・ジャックス/ラウンド・ザ・バック

スコットランドのエディンバラで1973年に結成されたプログレッシヴ・ロックバンド、カフェ・ジャックス(Café Jacques)の1stアルバム。スティーリー・ダン(Steely Dan)的なジャズ・ロックとソフトロック、リトル・フィート(Little Feat)のようなブルースロック、キャラヴァン(Caravan)やジェネシス(Genesis)などのプログレッシヴ・ロック、10CCのような英国ポップの要素を含むブリティッシュ・モダン・ロックの名盤。ジェネシスのフィル・コリンズ(percussion)、キャラヴァンのジェフリー・リチャードソン(viola, flute, clarinet)、元キャラヴァンのジョン・G・ペリー(Wal bass)参加。プロデュースはルパート・ハイン。最後の曲「Lifeline」は劇的な展開の佳曲。「Ain't No Love in the Heart of the City」はボビー・ブランドが録音したR&B曲のカヴァー

Round the Back

2017年10月25日

Rzewski/The People United Will Never Be Defeated! (Takahashi, 1978) *

ポーランド系アメリカ人の作曲家・ピアニスト、フレデリック・ジェフスキーが1975年に作曲した『「不屈の民」変奏曲』(ALM Records)。セルヒオ・オルテガ作曲、キラパジュン作詞のチリの政治闘争歌「不屈の民(団結した人民は決して敗れることはない)」の主題に基づく36の変奏からなるピアノ独奏のための変奏曲。超絶技巧を要する現代音楽の難曲で、かなり長い曲(この録音は約58分。通常は1時間以上)だが、パンディアトニシズム(調性の制限を超えて全音階を使用)やセリエリズム(音列主義)などの現代音楽の技法だけでなく、大衆歌やチリの民俗音楽、ロマン派、ジャズなどの要素も含んでおり、現代音楽としては比較的聴きやすい人気曲。イタリアの労働運動の歌「バンディエラ・ロッサ(赤旗)」と、ベルトルト・ブレヒト作詞、ハンス・アイスラー作曲の歌曲「連帯性のうた」の引用もある。ピアノ演奏は高橋悠治

「不屈の民」変奏曲

2017年10月19日

山口冨士夫/ひまつぶし (1974)

1960年代後半〜1970年代前半にGSバンドのザ・ダイナマイツ、ロックバンドの村八分のメンバーとして活動していた、日本のロックの創生期の重要人物、山口冨士夫が村八分解散後にリリースした1stソロアルバム。ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の影響が色濃いロックンロール、ブルース、フォーク風の曲など、山口のギターとヴォーカルを中心とする佳曲多数。歌詞は英詞の「CAN NOT WAIT」以外は日本語。「おさらば」は乾いた叙情性を湛えたカントリー・フォーク風の印象的な曲。ライヴ音源3曲と未発表デモ3曲を含むリマスタリング盤が2014年に発売されている

Himatsubushi

2017年10月13日

Vince Guaraldi Trio/A Boy Named Charlie Brown (1964)

ヴィンス・ガラルディ・トリオ/ア・ボーイ・ネームド・チャーリー・ブラウン

チャールズ・M・シュルツの漫画が原作のTVアニメ特番「ピーナッツ」の音楽作曲で知られるアメリカ合衆国のジャズ・ピアニスト、ヴィンス・ガラルディが、チャールズ・M・シュルツと「ピーナッツ」に関する、アニメパートを含むTVドキュメンタリー番組「A Boy Named Charlie Brown」(1963年。TV未放映)のためにピアノ・トリオとして録音したサウンドトラック。ガラルディによる「ピーナッツ」のサウンドトラックとしては最初のもの。オリジナルのタイトルは「Jazz Impressions of a Boy Named Charlie Brown」。1950年代のウエストコースト・ジャズの流れを汲むポップ志向のジャズ・アルバムで、軽快にスウィングするリズムとシンプルで叙情的なメロディーのキャッチーな楽曲を含む。「Linus and Lucy」(ライナス・アンド・ルーシー)はガラルディの最も有名な曲の一つで、「ピーナッツ」のTVアニメ特番で何度も使用され、「ピーナッツ」の事実上のテーマソングとなった。ガラルディによる「ピーナッツ」の音楽は1960年代中盤以降に多くの子どもたちやその家族層にジャズを紹介し、ジャズの大衆化に貢献した

A Boy Named Charlie Brown