2018年04月18日

Steve Reich/Early Works (Double Edge and others, 1986-1987) *

ミニマル・ミュージックの開拓者の一人として知られるアメリカ合衆国の作曲家、スティーヴ・ライヒの初期作品集(Nonesuch)。「漸次的位相変移プロセス」(gradual phase shifting process)の手法により作曲された4作品を収録。「It's Gonna Rain」(1965年)と「Come Out」(1966年)は録音されたヴォイスを素材として使用したテープ音楽で、2つまたはそれ以上の反復パターンを漸次的に変化してゆく位相として扱っている。「Piano Phase」(1967年)は2台のピアノのための曲で、「漸次的位相変移プロセス」の手法をライヴ演奏に適用した最初の試みの一つ。ピアノ演奏は鍵盤楽器のデュオ、ヌリット・ティルズとエドムンド・ニーマン。「Clapping Music」(1972年)は楽器なしで2人のミュージシャンの手拍子のみの曲で、拍のずれによるリズムの変化を扱っている。ミニマル・ミュージックの愛好者におすすめの1枚だが、2つのテープ音楽は非常に実験的で前衛的なので、初心者向けのファースト・チョイスとしてはより音楽的な「Music for 18 Musicians」、「Music for a Large Ensemble」、「Octet」などの方をおすすめします

Early Works

2018年04月12日

Butthole Surfers/Locust Abortion Technician (1987)

バットホール・サーファーズ/ローカスト・アボーション・テクニシャン

1981年にテキサス州サンアントニオでギビー・ヘインズ(lead vocals)とポール・リアリー(guitar)を中心として結成されたアメリカ合衆国のロックバンド、バットホール・サーファーズ(Butthole Surfers)の3rdアルバム(UKインディーチャート3位)。サーファーズの代表作、または最高傑作として挙げられることが多い。パンク、ヘヴィメタル、テキサス・サイケデリアの要素を混合した実験的なノイズロック。ミュジーク・コンクレートのようなテープ編集、ヘロヘロのディストーション・ギター、ピッチ変調などのエフェクトを多用した奇怪なヴォーカルが特徴。「Sweat Loaf」はブラック・サバス(Black Sabbath)の曲「Sweet Leaf」のギターリフの引用を含んでいる。「Kuntz」はタイのアーティスト、Phloen Phromdaenの民謡風の曲「Klua Duang」のぶっ壊れた再編集リミックス

Locust Abortion Technician

2018年04月05日

THE FOOLS(ザ・フールズ)/Weed War (1984)

1980年にSEX、自殺などのパンク〜ニューウェイヴ系のバンドの元メンバーによって結成された、伊藤耕(vocals)と川田良(guitar)を中心とするロックバンド、THE FOOLS(ザ・フールズ)の1stアルバム。ファンク、ブルース、ロックンロールの要素を含む、日本のアンダーグラウンド・ロックの名盤の1つ。ジャズ・テナーサックス奏者の植松孝夫のサックスと女声コーラスを含むソウル・ミュージック志向の音。「MR.FREEDOM」はジェームス・ブラウンのファンク・ナンバーのようなスタイルの佳曲。じゃがたらのOTOとの共同プロデュース。2007年に未発表ライヴCD(1984年)とDVD(約3分。石井聰亙撮影)付きボックス仕様の限定盤「WEED WAR -LEGACY EDITION-」が発売された。2012年のリマスター盤は1984年のLP初回盤にのみ付属していたソノシートの「WHAT YOU WANT?」をボーナス・トラックとして収録。2012年のリマスター盤の初回生産分は未発表ライヴCD(1982年)収録のボーナスCD付き2枚組

Weed War

2018年03月29日

Dufay/Missa L'homme armé, Motets (The Hilliard Ensemble, 1986)

ルネサンス初期のフランドルの作曲家でブルゴーニュ楽派の中心人物、ギヨーム・デュファイの声楽曲集(EMI)。「ミサ・ロム・アルメ」とモテトゥス5曲を収録。「ミサ・ロム・アルメ」はフランスの世俗歌曲「ロム・アルメ(武装した人、戦士)」の旋律を定旋律として使用した4声の循環ミサ曲で、「ミサ・ス・ラ・ファス・エ・パル(もし私の顔が青いなら)」と並ぶデュファイのミサ曲の代表作の1つ。イソリズムを使用した4声のモテトゥス「ばらの花が先ごろ」はサンタ・マリア大聖堂の献堂式で演奏された祝典モテトゥスとして有名。いずれの楽曲も純粋に美しい多声声楽曲として鑑賞できる。イギリスの男声カルテット、ヒリヤード・アンサンブルによる、透明感のある高音域の男声(テナー、カウンターテナー)と全体のうねるような統一感、各声部のリズミカルな絡み合いを含むすばらしい演唱

Missa L'homme armé, Motets

2018年03月21日

Laura Nyro/Eli and the Thirteenth Confession (1968)

ローラ・ニーロ/イーライ・アンド・ザ・サーティーンス・コンフェッション(イーライと13番目の懺悔)

1947年ニューヨーク市ブロンクス区生まれのアメリカ合衆国のシンガー・ソングライター、ローラ・ニーロ(Laura Nyro)の2作目のアルバム(全米アルバムチャート118位)。ローラ・ニーロの作品中最も聴きやすくて有名なアルバムとして知られている。ゴスペル、R&B、ジャズの影響を受け、ロックの要素も含んだヴォーカル・ポップ。リズムや曲調の変化を多用した楽曲、ヴィブラートの効いたソウルフルでエモーショナルなヴォーカル、自身のピアノ伴奏、チャーリー・カレロ(Charles Calello)によるホーンとストリングスを含むゴージャスなアレンジ。フィフス・ディメンション(The 5th Dimension)による「Stoned Soul Picnic」と「Sweet Blindness」のカヴァー・ヴァージョンはそれぞれ全米3位と13位のヒット、スリー・ドッグ・ナイト(Three Dog Night)による「Eli's Comin'」のカヴァー・ヴァージョンは全米10位のヒットとなった。チャーリー・カレロとの共同プロデュース。2002年のリマスター版は未発表のデモ3曲を含む

Eli and the Thirteenth Confession

2018年03月18日

E.S.T./Leucocyte (2007)

1993年に結成されたスウェーデンのジャズ・ピアノ・トリオ、E.S.T.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ/Esbjörn Svensson Trio)の12作目のアルバム(ACT)。キース・ジャレット(Keith Jarrett)的なエスビョルン・スヴェンソンの耽美的なピアノを中心に、電子音や電気的なエフェクト、ノイズを多用した電子音響作品風のコンテンポラリー・ジャズ。オーストラリアのスタジオでのトリオによる即興演奏にポストプロダクションを施して制作された。組曲形式の長い2曲を中心とする構成。ジャズよりもシガー・ロス(Sigur Rós)やレディオヘッド(Radiohead)のようなポストロック/オルタナティヴ・ロックやフェネス(Fennesz)のようなアンビエント/グリッチ・テクノの方に親近性が高い音。残念なことに2008年にスヴェンソンがスクーバダイビングの事故で逝去したため、本作がE.S.T.の最後のアルバムとなってしまった

Leucocyte

2018年03月12日

Paul Mauriat/Paul Mauriat Best 100 -eternal European sounds- (2015/1965-1993)

1960年代後半から1970年代前半にポピュラー/映画音楽におけるイージーリスニングの分野で国際的なヒット曲を生んだ、1925年マルセイユ生まれのフランスの作曲家・指揮者、ポール・モーリア(Paul Mauriat)が作曲した楽曲を収録したCD5枚組のベスト盤(Universal Music Japan)。ユニバーサルミュージック保有のマスターテープから選出した100曲をデジタル・リマスタリングしSHM-CDに収録。ヒット曲はすべてオリジナル・ヴァージョン。チェンバロを多用した、キャッチーなメロディーとクラシカル/バロックの要素を含む感傷的なインストゥルメンタル・オーケストラ・ポップ。「蒼いノクターン(Nocturne)」(1966年)は初期のオリジナル曲。フランスの作曲家、アンドレ・ポップの曲をカヴァーした「恋はみずいろ(L'amour est bleu (Love is Blue))」(1967年)は全米No.1ヒット曲。「サバの女王(La reine de Saba)」(1967年)はチュニジアのシンガーソングライター、ミッシェル・ローランの曲のカヴァー。「エーゲ海の真珠(Pénélope (L'éterner retour))」(1970年)はスペインの作曲家、アウグスト・アルグエロの曲のカヴァー。「涙のトッカータ(Toccata)」(1973年)はフランスの作曲家、ガストン・ローランの曲のカヴァー。「オリーブの首飾り(El Bimbo)」(1974年)はフランスの作曲家、クロード・モルガンの曲のカヴァー。ポール・モーリアのヒット曲のオリジナル・ヴァージョンを高音質でまとめて聴きたい方におすすめ

ポール・モーリア ベスト100 永遠のヨーロピアン・サウンズ

2018年03月04日

Janet Jackson/Janet Jackson's Rhythm Nation 1814 (1989)

ジャネット・ジャクソン/ジャネット・ジャクソンズ・リズム・ネイション1814

マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)を含むジャクソン・ファミリーの末子として生まれ、1980年代後半以降に兄のマイケルの影から脱却して商業的な成功を収めたアメリカ合衆国の歌手・ソングライター・女優、ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)の4作目のスタジオ録音アルバム(全米アルバムチャート1位。全英4位)。前作「Control」(1986年)と同様、プロデューサー・チームのジミー・ジャム(Jimmy Jam)とテリー・ルイス(Terry Lewis)との共同制作。全世界で1200万枚の売上を記録した大ヒット作。主にサンプラー(E-mu SP-1200)とドラムマシンを多用したダンスポップ曲とストリングス入りのバラードからなる、コンテンポラリーR&B/ニュージャックスウィングの傑作。人種差別や貧困、薬物乱用などの社会的なテーマを扱ったコンセプト・アルバム。トップ5ヒット7曲、「Miss You Much」(全米1位)、「Rhythm Nation」(2位)、「Escapade」(1位)、「Alright」(4位)、「Come Back to Me」(2位)、「Black Cat」(1位)、「Love Will Never Do (Without You)」(1位)収録。「Black Cat」はヘヴィメタル風の曲。「The Knowledge」はインダストリアル・ミュージック風の曲

Janet Jackson's Rhythm Nation 1814

2018年02月24日

Herbie Hancock/Mwandishi (1971) *

1940年生まれのイリノイ州シカゴ出身のジャズ・ピアニスト・作曲家・編曲家、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の9作目のアルバム(Warner Bros.)。初期の電化マイルス(「In A Silent Way」と「Bitches Brew」)の強い影響下で実験的な音楽を開拓していた1970年代初頭の「エムワンディシ」期のハービー・ハンコックのセクステットによる最初のアルバム。メンバーはハービー・ハンコック(Fender Rhodes piano)、バスター・ウィリアムス(bass)、ビリー・ハート(drums)、エディー・ヘンダーソン(trumpet, flugelhorn)、ベニー・モウピン(bass clarinet, alto flute)、ジュリアン・プリースター(trombones)。ハービー・ハンコックのエレクトリックピアノを中心に、エフェクター(リヴァーブ、エコー、トレモロ)を駆使したスペイシーな前衛ジャズ。1曲目の「Ostinato (Suite for Angela)」はエレクトリックベースの反復リフとアフリカン・パーカッションを含む15/8拍子のエレクトロ・アフロ・ファンク。2曲目の「You'll Know When You Get There」はベニー・モウピンのフルートが印象的なスローテンポの幻想的な曲。最後の「Wandering Spirit Song」(21分超)は「In A Silent Way」の影響が色濃いアブストラクトな曲で、中盤にフリーキーなフリー・ジャズのパートを含んでいる

Mwandishi

2018年02月19日

Can/Future Days (1973) *

カン/フューチャー・デイズ

1968年に西ドイツのケルンで結成されたドイツの実験的なロックバンド、カン(Can)の5作目のアルバム。日本人ヴォーカリストのダモ鈴木在籍時の最後のアルバム。アンビエント・ミュージック的な要素、凝った音響処理、軽快で小刻みなドラムとアフリカン・パーカッション、ダモ鈴木の繊細なヴォーカルをフィーチュアした、パーカッシヴで心地良いクラウトロック/プログレッシヴ・ロック。シングル曲「Moonshake」はヤキ・リーベツァイトのメトロノーム奏法のドラムを含むポップソング。最後の組曲形式の曲「Bel Air」(約20分)は浮遊感と恍惚感を湛えた名曲

Future Days